ジャピオンさんに記事を書いて頂きました。

http://www.ejapion.com/health/maintenance/46179

前編と後編に別れて2回の連載です。

今回は前編です。

私の書籍『究極の疲れないカラダ』でもお話していますが、

1、医学的な診断が最も大切

2、治療と同時に体の機能性運動性をを高めることが大切。とお話ししています。

これが『機能運動医学』の考え方で将来元気で生活したい人にはとても大切な医学です。 っと言ってもなかなか解りにくいので、こんな記事はとても助かります。

代替医療妄信にひそむ危険 症状改善は正しい診断から

一般的な健康法に関する誤解とは?

 良かれと思って始めた健康法が、実は全く効果がなかったり、逆に体に害だったりすることはよくあります。私の患者さんは、首や腰、関節の痛み、肩が上がらないなど、筋肉骨格系の症状を訴える人がほとんどですが、我流の健康法や、知人から勧められた代替医療を何年も試した結果、症状を慢性化させ、痛みに耐えられず受診するパターンがとても多くみられます。

 代替医療が悪いのではありません。実際に体がラクになり、痛みをコントロールできるようになる人もいます。しかし、大抵の場合、症状の緩和は一時的に過ぎません。それは、症状の原因を取り除くわけではないからです。例えば急性の腰痛は、放っておいても、普通は2週間もすれば痛みが自然に引きます。困ったことに、それを代替医療の効果と勘違いし、そのまま完治できると思い込むと、根本的治療のタイミングを逃してしまいます。

 日本で数年前から話題の産後の骨盤矯正も、日本独特の代替医療アプローチの一つです。カイロプラクティックで「骨盤の歪(ゆが)みとズレ」を治療するのは簡単ですが、それで尿漏れや腰痛、疲労などの悩みや症状が永遠に解消されるわけではありません。

 腹筋を鍛えると腰痛が治る、ラクになると思われているのも、大きな誤解です。体幹全体を鍛えず腹筋だけを強化しても意味がないですし、腰痛の原因が椎間板に由来する場合の腹筋運動は、かえって症状を悪化させてしまいます。体操や運動で闇雲に筋肉の柔軟性を高めても、効果はあっても一時的です。

 症状は同じでも、原因は人によってさまざまです。ある人の腰痛に効いた代替医療のアプローチが、別の人にも効くとは限りません。「本当の原因」を診断し、それに対するアプローチが必要です。そして本当の原因は、「骨盤の歪み・ズレ」などの単純な問題ではありません。代替医療、あるいは我流の健康法は、体に危害を及ぼす危険や、適切な診断と治療の遅れにつながる可能性もあることを覚えておきましょう。

治療にあたり大事なことは何ですか?

 繰り返しになりますが、体のどこが、どのように壊れているのか、損傷部位とその状態を正しく診断することです。残念なことに、何年、何十年と痛みを抱えている人に原因を聞くと、答えられない人がほとんどです。胃が痛くなれば病院に行き、胃潰瘍、胃炎などの診断を受け、治療法が決まるのが普通ですが、腰や肩など、内臓以外の痛みとなると、専門家の診察を受けず、代替医療や我流の健康法で治そうとする人が、なぜか増えるようです。

 私が診断して原因が分かったら、西洋医学的アプローチで治療するのか、薬物療法や手術以外の代替医療だけで治療するのか、あるいは西洋医学に代替医療を取り入れるのかなど、患者さんに治療選択肢を説明します。

 私は、できるだけ薬物療法や手術を避けたいと考えていますが、それもケースバイケースです。重症で痛みが強い場合などは、痛みを緩和する注射治療や、早めの手術によって良い結果を期待できることもあります。

どのように診断しますか?

 初回診察時に約1時間をかけて、症状や生活習慣などを詳しく問診し、体の機能を調べる検査や触診を行います。

 腰痛の場合、問題の所在が内臓か、腰の椎間板か、あるいは筋肉かを突き止めます。ほとんどのケースで椎間板または筋肉が損傷しており、それに加えて神経が影響を受けていることもあります。これらは、筋肉をどの方向に動かすと、どういう痛みが出るかや、筋肉の反射、皮膚の感覚など、体の機能を調べることで分かります。

 精密検査が必要、あるいは脚にしびれや痛みがある、骨折が疑われるなどの場合は、レントゲン検査を行います。診断内容を確認するため、磁気共鳴画像装置(MRI)検査を追加することもあります。

 MRI画像に映った問題を手術で治療した後も、まだ痛みが消えない患者さんを診察することもあります。私が検査すると、筋肉の機能低下など、画像に映らない問題が原因のこともあるからです。治療方針は、痛みの原因によって大きく変わります。

※来週は、治療法についてお聞きします。

棒を背中にあてて前屈することで、背骨の歪みや動きが分かる。このポーズは、正しい姿勢を体に覚えさせるためにも使われる