ローテーターカフとは肩を支える安定させる、動かす際に大切な4本の筋肉の総称で日本語では

腱板インナーマッスル、ローテーターカフなどの表現で呼ばれます。

これらの筋肉の損傷は実は主に筋肉ではなく筋肉と腱の移行部腱と骨の移行部で起こります。

なので筋肉の損傷と呼ばれますが、ほとんどの場合は腱の損傷です。

この部位は筋肉と比べて血液循環が悪く治りにくい事も特徴の一つで、これが肩の症状がなかなか完治しない理由の一つでもあります。

痛みに焦点を当てて考えられる事が多いですが、腱が完全に切れてしまっても痛みはそれほど起さずに見える方も、多少の損傷でも大きな痛みを抱える方も見えます。

ですので痛みの強弱のみで状況を判断することは全く役に立ちません。

また痛みの場所でも筋肉の損傷は特定できない事も特徴です。ローテーターカフ、腱板損傷、ローテーターカフの怪我は障害の起こっている部位とは離れた場所に痛みを出す事が多くあるので単純に痛みの場所と部位が一致しないのです。

ですので痛みの出ている場所で解剖学的な故障箇所を分析することも困難です。

繰り返しますが解剖学を知り尽くした医師でも痛み部位のみから壊れている場所を推定するのは困難なのです。

この症状を疑った際に大切なことはまず整形外科、理学検査を行う事です。これは熟練したプロが行えば詳しくどの筋肉を損傷しているのか、またその他の損傷についても診断が可能でMRIに勝るとも劣らない結果を出す事が可能です。しかし検査の動き、スキルで大きな違いが出てしまうので医師の腕によっての差が大きく現れます。

MRIは誰が行っても熟練した専門医がレポートを書くので正確な問題点を知る事ができます。アメリカの場合は必ず専門医が責任を持って書くレポートが同封されるので、それを読めば医学の知識がなくても問題点を知る事ができます。しかしながらアメリカでは費用が高額で、保険が無い、または保険の保証が少ない方は自費で最低でも$500くらいはかかります。

日本の場合は専門医のレポートが無い、コピーが貰えないなどの問題点を聞くことがありますが費用は圧倒的に安いです。

またMRIは細かい問題点を映す事が出来るので、時としては知らなくて良い問題や痛みの原因になっていない問題が映ってしまう事があります。簡単に説明すると全く痛みや症状の無い人でもMRIをとれば腱や筋肉、軟骨などに異常がで発見されることがかなり多くあるのです。

またローテーターカフに50−70%の断裂が無い場合は一般的にはコンサバティブな手術以外の治療法が用いられるので

『高い検査を行っても治療法は変わらない』との結果になる事も多いです。

癌などの命に関わる問題点を疑えば状況は別ですが、命に関わらない、治療法が変わらないのであれば必要ないと考える方も多いのが現実です。

患者さまの意思を尊重するので、ご本人が希望すれば別ですが私が毎日の臨床でにMRIに送るタイミングは手術かその他の治療法を考慮する場合です。

腱の損傷、完全断裂については手術の成績がいつでも同じとは限りません。

腱の手術の成功成績は発症後の時間によっても大きく左右されてしまうからです。

この辺りは私は手術の専門家では無いので詳しい説明には触れませんが、手術の適応症状をできるだけ早く専門医にお送りすることも私の大切な仕事なのです。

そしてやはりこのローテーターカフの損傷でもやはり機能運動医学が大変重要な役割を果たします。

故障したローテーターカフのリハビリは昔から様々なプロによって行われているので必要性を今更説明する必要も無いと思います。

ここで大切な機能性は肩甲骨の安定感、背骨、特に胸椎の進展などの動きです。

ローテーターカフは小さな筋肉でありそもそもここに負担がかかるような状態になっている肩関節の機能性、運動性に根本的な問題があるのです。

座っている人は背中を丸くして腕をあげてみてください。

次に背中を伸ばして腕をあげてみてください。

明らかに姿勢を正した方が腕が上がりやすく、高く上がるはずです。

これが肩甲骨、背中の機能性運動性を高めた状態での肩の動きなのです。

普段の生活で肩甲骨の安定感がなければローテーターカフは必要以上に負荷をうけることになり、日常生活だけでも完全断裂を起こすことも珍しくありません。

インピンジメントシンドロームなどはこれらを引き起こす最たるものであり、またロテーターカフの損傷でも実に様々なパターンの断裂や損傷があり、その部位や度合いによっても何が原因かがわかるのですが、これはまた別の項目にに書きたいと思います。

今回の大切なポイントはローテーターカフの損傷、断裂でも

機能運動性を高める治療、トレーニングが大変重要であり、痛い場所、痛みの強度、MRIのみで簡単に判断するべきではない事です。