呼吸と腰痛、肩の痛み、首の痛みが関係すると聞いてもなかなかピンとこない方も多いかと思いますが、これらには大きな関係があります。力を入れる、体を強くする、壊れないようにリハビリ、トレーニングを行なう前に必ず練習するべきはじめの課題はこの呼吸法です。

『究極の疲れないカラダ』の107ページにも書きましたが疲れないカラダ第一歩とも言える大切な項目です。

呼吸は胸式呼吸腹式呼吸の2通りであり、誰もがこのどちらかを行っています。

人間の呼吸メカニズムは空気を吸い込むと言うよりは、肺、胸郭を筋肉で脹らませる事によって吸いこむ様に空気を取り込みます。

『空気が入るので胸が脹らむ』のではなく、『胸を脹らませて空気を吸い込んでいる』のです。

つまり『どう呼吸するか』とは

『どの様なメカニズムで胸を脹らませているか』なのです。

横隔膜を使った理想的な腹式呼吸と肩コリ、首を痛める原因の筋肉を酷使する胸式呼吸は大きな違いがあり、これを理解、解決なしではリハビリは始まりません。

腹式呼吸

腹式呼吸とは肺の下にある横隔膜と言われる筋肉を使った理想的な呼吸です。

これは首、胸まわりの筋肉をリラックスさせた状態で行うので筋肉に必要ない緊張を起こす事がありません。また横隔膜を理想的に引き下げる事でお腹の圧力である腹圧をあげるために体幹の安定感を高める事にもつながり、すべてのリハビリ、トレーニングにおいて重要な呼吸法です。格闘技、ヨガなど東洋の様々な運動には昔から理想的とされ取り込まれていますが、これも解剖学的な体幹の安定感、機能性を考えると納得できます。

胸式呼吸

首が慢性的に痛い、機能性の低下、頭痛、肩こりなどの首に関わる症状をお持ちの方のほとんどがこの呼吸になっています。また座りっぱなしのデスクワーク、スマホなどの影響もあり、一般人のほとんどは頭を前に突き出した姿勢になり、首、肩こり、頭痛を引おこす筋肉を酷使して呼吸をしています。これが胸式呼吸の状態で、リハビリに入る前にまずここから練習が必要です。この状態は実際に呼吸をしているだけで首が痛くなる、肩が凝る状態なので、これを無視してのリハビリ、トレーニングは残念ながら肩凝りを作る事にもなってしまいます。週末にせっかくの運動やランニングをしても何故か後で首や肩に症状が出る場合はまず呼吸から見直す必要があります。鏡にむかって呼吸をしてみて首の筋肉が動く方はこの呼吸になっています。難しいトレーニングに入る前に腹式呼吸をしっかりと練習してください。

また現代人は忙しくストレスを抱えて仕事をする生活が一般的で自律神経の『交感神経』が高まった状態です。腹式呼吸はこの交感神経優位な状態から『副交感神経』を優位にして体をリラックスさせられる効果もあります。

腹式呼吸で喧嘩をする人は珍しいですし、逆に胸式の呼吸でのんびりとリラックスする方も少ないです。まずは呼吸を見直してみてはいかがですか?

  • 仰向けで寝て手をお腹の上と胸の上に置きます。
  • どちらの手が先に動くか、どれ位の比率で動くかを確認してみてください。
  • 自然に全身の力を抜いてお腹が先に膨らみ最後に胸が少し動く程度の呼吸ができるように練習します。理想的にはお腹が8割、胸が2割位の動きがゴールです。
  • 仰向けが一般的には簡単な姿勢なので、これができれば座った状態、立った状態、歩きながらと徐々に日常生活に腹式呼吸を取り込んでください。

1日に何回でも気がついたら行ってください。

一日中できればいいですが、まずは日常生活の中で気がついた時にできるだけこの呼吸を心がけます。

首、肩の症状がある方は起床時、就寝時ベットに横になった際に数分間でもトレーニングを行ってください。

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