ニューヨークではコロナウイルスのパンデミックに伴い、全ての職種が自宅勤務になってしまいました。

慣れない環境で皆様自分なりに奮闘されている様ですが、クライアントの皆様から最もご要望があったのが

『肩こり対策』でした。

慣れないデスク、ノートパソコン、食卓の椅子では肩がこるのは当然ですが、これを改善させるのが今回のテーマです。

どんな分野でも『知識は力』であることは間違いなく、健康や肩こりもロジックが大切です。

ロジック、知識を無視して言われたストレッチを実行するよりも、本質を理解して本格的な対策ができればと思っています。

『肩こりに効く!!』『30秒解決!!』『長年の肩こりが消えた!!』

などなど巷にある運動、ストレッチ、ウンチク。

どれもそれなりに効果があるはずです。

もしかしたら、私の提案する運動よりも効果的かもしれません。

何か発見したら是非教えてください(笑)。

肩こり、首の痛みは解剖学、生理学的な問題なのでそこには

『魔法』も『秘密』も『独自の発見』もありません。

原因と結果のみです。

今回は皆さんがこの『原因』をしっかりと理解して、それを解決するべき運動、座り方ができれば『結果』はついてくるとはずです。

効果がある運動も何故効果があるかが理解できる様になります。

肩こりのメカニズムは単純に『座りっぱなし』ではないのです。

これを解決する際に必要なことは『敵を知ること』。

どうして起こるのかの具体的なメカニズムを知ることが必要です。

長く座っても症状を少なく保つことは可能ですし、短い時間でも強烈なな肩こりを引き起こすこともあります。

まず大切なのは

『仕事量 x  時間』 の法則です。

これがわかれば、筋肉故障のメカニズムが座り時間の問題だけではないことが分かります。

カラダの使い方(仕事量)と座り時間が掛け算になるので、ここで失敗してしまうと、ダメージ大なのです。

時間は単純に仕事、座り時間の事を指します。

肩こりは、上部僧帽筋、肩甲挙筋などの使いすぎによる過緊張で起こります。

座るだけで何もしていないのですが、首の筋肉が同じ姿勢で頭の重みを支えているので

使いすぎの状態を作ってしまうのです。

座り姿勢で頭を支える負荷は、重力に対して頭を支える筋肉の極めて物理的。解剖学的なメカニズムです。

頭が前に(スクリーン側)移動するればするほど首の筋肉は強制的に働かされます。

働く量(仕事量)が増えれば時間に時間の経過に伴って掛け算で負荷が増えます。

これが『仕事量 x  時間』 の法則です。

ですので、ここの首にかかる仕事量を下げることがポイントなのです。

短時間で大量の仕事をこなすやり手のビジネスパーソン(仕事量が多い)ではなく、

首の仕事量を減らして、だらだらと長い時間が経過するメカニズムを作る必要があるのです。負荷が少なければ、長時間の仕事にも、嫌な上司にも耐えることが可能なのです。

肩こり、首の痛みの予防は、首、肩の仕事量を減らす。

これが全てです。

原理原則がわかればスタンディングデスク、良い机、椅子、キーボード、座り方、立ち方、全てにおいて理解が深まり、実践できるかと思います。

これを踏まえて、もう一度この説明動画をみてみてください。

大切なポイント2つ目は『適度の休憩』です。

仕事量が少なく、ダラダラと長く仕事を社員でも休憩は必要です。

そして休憩の目的は働きすぎて、壊れないためです。

つまり『壊れたものを直すのではなく、壊れる前に休憩』がポイントです。

筋肉などの組織に同じ負荷がかかり続けると遅かれ早かれ故障します。

2時間続けての仕事と30分の4セットでは全く故障具合が変わります。

これが2つ目の大切な法則です。

試しに指を下の写真の様に折れない程度に限界まで曲げてみましょう。

これ自分の指ですが、結構痛かったです(笑)。

15秒くらいでかなり痛みが出るはずです。そこで一回もとに戻してリラックスします。

少し休んだらもう一度同じ様に曲げてみてください。

休憩が短くても不思議なことに痛みは顕著に軽減するはずです。

これが組織にかかる負荷を短時間減らすことの効果です。

仕事量が少なくセットされていても、適度な休憩は大変効果的です。

この実験でも指に過度の痛みが出現したりしてからでは痛みはリセットされません。

組織は一度限界を壊れて損傷してしまうと元に戻れないのです。

骨折、靭帯損傷などが分かりやすい例ですね。

捻挫などで靭帯を損傷すれば、元のポジションに戻してもすぐには治りません。

筋肉の損傷でも症状が出てからでは休憩、回復に時間がかかるので、効率が悪いのです。

過労で倒れてしまった社員と同じで入院してしまうと復活に時間がかかるのです。

大事に至る前に休憩が大切です。

ではどれだけの頻度で?

と聞かれますが、答えは

『できるだけ頻繁に』です。

長さは、一回が15秒から30秒程度の短い休憩でも効果があります。

頻度は30分ごとに休憩が必要な人がいれば2時間続けても平気な人も見えます。

『XX分ごとの休憩が理想です』などと言われますが、個人差があるので自分の理想的な時間を探してみてください。

私はアクティブな人間なので(落ち着きがないだけ)常に動き回っています。

これは執筆の時でも同じです。

15分ごとに動き回りながら本が2冊も書けたので、多少動いても結果は出せると思います。

私が集中して執筆に入った時はこんな感じですね。常に動き回ってます

最後に運動、ストレッチ、具体的な休憩中の動きについての秘密ですが。。。

実は『何をしても効果があります』

つまり、何でも姿勢を変えるだけで有効なのです。

立ち上がる、腕をあげる、横を向く、肩を回すなどは何でも有効です。

今の世の中、いろいろな情報が溢れているので、安全であれば実験してみてください。

特別な運動を探す必要もありません。何でも効果的なのですから(笑)。

しかしながらそんな終わりではここまで読んでいただいた方に申し訳ないので、いくつかの運動、ストレッチをご紹介します。

そしてここでもやはり知識は力でロジックが大切なのです。

まずは肩を動かす運動は全て効果的です。

ですが、一般的に言う『かたこり』の部位は解剖学的には首であり、肩ではありません。

肩は鎖骨、肩甲骨、上腕骨の3つの骨で形成され、この土台は肩甲骨。

肩甲骨を動かすことが最も簡単かつ効果的な休憩、予防といえます。

なので、肩甲骨を動かす運動は何でも効果的と言えます。

『腕を高くまであげる。肘をおおきく回す』動きは肩甲骨が動くので効果的です。

例えば、下の写真エクササイズ。

これは拙著の1冊にも載せた動きで、肩甲骨を下げながらできれば効果的です。

p136の通称名、ウオール エンジェル。 壁立ちエクササイズです。

本書に書いてある通り、これは自分の機能運動性のテストにも使えますし、ストレッチにもなります。

次はクリニックではほぼ全員にお話しするエクササイズ。

胸の筋肉が硬くなって短くなるのは、後ろ側(背中)の筋肉とのバランスが崩れる、機能運動性の低下が原因です。

この肩こりメカニズムを全て一撃で反対にしてしまう、リセットエクササイズ。

世界中で有名な首のエクササイズです。

4つのポイントを一撃で解決します。

1、前方に出た頭、首を後ろへまっすぐ引く。

2、掌を広げて、外側に回しながら動かし、肩甲骨を背骨に近づけながら下方向へ下げる。

3、胸を張って、背骨の反りを作るストレッチを入れる。

4、さらに腹式呼吸をして、横隔膜を動かし、肩、首の筋肉をリラックスさせる。

なかなか難しいですが、しっかりできれば何よりも効果的と私は思います。

ただ、個人差があるのでその辺りはご自由にどうぞ。

これが難しい方は分解して

1、顎をまっすぐに引く(写真参照)

2、肩甲骨を後ろに引いて、下へ下げる。

3、腹式呼吸

など先のエクササイズを分解して行っても効果が出ます。

あくまでも原理原則に従えば結果はでるのです。

そしていわゆる猫背姿勢(背骨の後弯)に対して、進展の動きを改善する方法も効果的です。

背骨、胸椎の進展とは簡単に言えば『エビゾリ』方向への動きをだすトレーニングです。

フォームローラーなども有効です(下の写真参照)。

胸椎の進展が行いやすくなると、肩甲骨、頭のポジションも戻しやすくなり、

肩こりの土台に対する運動と言えます。

他にも

肩関節(肩甲骨、鎖骨、上腕骨)の動きを改善する。

首、頭を後ろへ引き、肩甲骨を後下方へ下げる。

胸椎の進展を作る。

腹式呼吸。

ができれば何でも効果は出るはずです。

あとは個人差があるのでお好きなエクササイズを探してみましょう。

水泳など肩関節の動きを伴う有酸素運動も効果的ですし、ランニングも悪くないでしょう。

結局何でも座る以外のことをすれば大丈夫なのです。

最後になりますが、日頃からの機能運動性を高めるトレーニングも定期的な治療は勿論効果的です。