ニューヨークに接骨院はありますか?

何度か聞かれた質問なのでブログにしてみました。

日本では一般的な接骨院、整骨院。

現在、国家資格所持者は全国で7万人を超えており、まだまだ毎年増加中、今後の高齢化社会にまだ需要があると言うことでしょう。

接骨院は日本独特の医療免許で国家資格が存在します。

国家資格が存在すると書いた理由は、日本には国家資格のない健康産業が多数存在するからです。

接骨院は『柔道整復師』が正式名称で、国家資格を所持した方が施術を行う治療院がいわゆる『接骨院』『整骨院』『ほねつぎ』です。

柔道の骨折、捻挫、脱臼等の急性の怪我を現場で応急処置することから職業に発展、国家資格になった分野です。

名前の通りで、『柔道』の怪我を『整復』することから発展したのです。

日本では馴染みのある分野で、浦沢直樹さんの漫画『YAWARA』のお爺さん、猪熊滋悟郎氏が柔道場と接骨院(ほねつぎ)を併設されて経営されていたのが

わかりやすいかと思います。

病院以外で保険の適応が認められている、珍しい分野なので、疑問に思われた方も多いでしょう。

その昔はなんと、現代の整形外科以上に急性の怪我を診察していたのです。

私の実家も代々続く接骨院(でもあった)なので、その昔はレントゲンを撮って診療もしていたんですよ。

時代は変わり、現代の先進国では『整形外科』がこの役割を果たし、医師でなければレントゲンは撮れなくなりました。

レントゲン無しでの骨折、脱臼の処置は不可能に近いですし、骨折、捻挫、脱臼で接骨院へ行く人はかなりの少数派となりました。

ちなみに私も骨折、脱臼したら整形外科へ行きますよ。接骨院へは行きません(笑)。

『アメリカにもこんな施設はないのかなぁ』

と思う気持ちは良くわかります。

日本の旅行から帰った見えたアメリカ人が『日本の接骨院最高』と言って来院されることすらあります。

英語では『ほねつぎ』=『Bone Setting, Bone Setter』 などと言われるのですが、

実際のところ先進国にはこのBone Setter は存在しません。

先進国に資格がないので当然アメリカにもありません。

アメリカ人には馴染みがないので、腰痛、肩こりでBone Setter に通ったとアメリカ人に話したらいいリアクションが返ってくると思います(笑)。

ニューヨーカーなら外国の文化を気遣い、あからさまに驚かないとは思いますが、頭の中では色々なことを想像しているはずです。

英語でのイメージは、まさにBone(骨)をSetter(つなぐ人)

『医学が発展する前に骨折、脱臼などを素手ではめる、極めて原始的な技』イメージです。

検索するとこんな記事が出ます。もはやシャーマンのレベルですね(笑)。

https://www.newtimes.co.rw/section/read/111257

まあ、と言っても一般的なカイロプラクティックのイメージも2020年の本場アメリカでも人によってはこんな感じかもしれません(涙)。

カイロプラクティックも柔道整復師も国は違いますが、国家資格で行なって良いこと、良くないことを決めるライセンスであり、

それ以上でも以下でもありません。

『接骨院の治療』も『カイロプラクティックの治療』も場所と先生や考え方、受けた教育などによって大きく異なるのです。

まあカイロに関しては法規制のない日本ではもっと大変でしょうね。

『アメリカには接骨院の資格や法律がないので接骨院はありません』が、『日本には法律も資格もないのに大量のカイロプラクティック』がありますから。

冗談の様な話です(笑)。先進国ではなかなか無い話です。

逆に

アメリカでは法律がないから、大丈夫、アメリカで『接骨院でも作ろー』とか、『日本で資格持ってるから治療しちゃえー』

『日本人相手なら大丈夫だね』

って、訴訟の国アメリカに正面から無資格の医療行に人生をかけて挑むギャンブラーにはまだお会いしていません。

ってことで、アメリカには接骨院はありません。

もし発見されたら是非ご連絡ください。

無資格、医療行為で訴えられたら罰金では済まないでしょうし、考えるだけでも恐ろしいのですが、日本ではそんなカイロプラクティックなどなどは一般的なのです。お国柄の違いですね。

さて、そんな暗い話は置いておいて。

長い歴史で人間が手を使って試しながらの医療類似行為は世界中で行われてきました。

そんな中、日本で市民権を得た『接骨院』、アメリカで生まれた『カイロプラクティック』、ヨーロッパの『オステオパシー』も先人の大変な努力の上に成り立っているのです。

それぞれが歴史の中で『西洋医学』と対決し負け、共存しようとの動きの中、それぞれの国で正式な国家資格になり業界が力を持つのは共通しています。なので、アメリカに柔道整復師の国家資格がなく、日本にカイロプラクティックの国家資格が無いのは、そんな歴史の違いでしょう。

手技療法の歴史はなんとエジプトの壁画まで遡るのです。

しかし、昔との大きな違いは、先進国で医療を行うにはエビデンス、科学的根拠で西洋医学と共存する必要があります。

治療法が経験だけで成り立つ時代は、残念ながら医学の発展とともに消え去ろうとしています。

カイロプラクティックの業界もエビデンス(科学的根拠)に基づいて進歩する結果、食事、軟部組織の治療、リハビリなどを取り込んでの診療が全米では大多数を占めます。

昔のカイロプラクティックを忠実に行い続けていたら???

これがオリジナルのカイロプラクティック(と言われている)ですが。

2020年に全てのドクター達がこの診療を続けていたらどうなるか???

間違いなく業界が無くなってますね(笑)

おそらく2000年の前に消えて無くなっているのでは?

常識的に考えて、100年前の治療法が現代で通じると考える方が間違っているでしょう。

MRIが存在せず、レントゲンも一般的で無いような時代の治療を忠実に100年後に再現するのはもはやカルトの域かと(笑)。

100年前の虫歯治療はおそらく『抜歯』。虫垂炎では手術ができずに命を落とされたと推定される時代です。

そんな時代なら何をしても医療になったのではと思ってしまいます。

新しい最新の医学が全てとは思いませんが、ある程度の進化は必要なのです。

じゃあ東洋医学は?と言うと。

あれは独自の医学で、そもそも西洋医学じゃ無いので進化しなくて大丈夫なのです。

これはまた別の機会に書きますが、東洋医学や鍼治療はエビデンスとか科学的根拠とか考えなくて良いと思います。

なので中国の古典を読んで学ぶスタイルで良いと思います。

『西洋医学』でなく『東洋医学』なんですから。この図にエビデンスは必要ないかと。

さて、そんな話で無く、接骨院ですが。

接骨院は整形外科的疾患を扱うので、東洋医学では無くて、西洋医学の分野で時代に合わせて進化しなければなりません。

エビデンス、科学的根拠も必要です。

しかしながら、整形外科疾患を扱うのに、MRIやレントゲンが撮れない、診断件が無い事実は非常に業界を困難な状況に追い込んでいるでしょう。

接骨院の唯一の強みは『保険請求』が可能なので国民が安く通えることですが、それも厳しくなってきています。

https://diamond.jp/articles/-/230207

 

ダイアモンドにこれだけ叩かれるとは恐らく業界は相当な打撃を受けているのでしょう。私も何人も柔道整復師の友人がいるので、これを読んでいるだけで可哀想になってしまいます。

そもそも、急性の脱臼、捻挫、骨折だけで営業しろとは無茶な話です。

これだけ平和で安全な社会でどれだけの人がそんな怪我をしているか?

ほとんどの人は慢性の腰痛などで接骨院へ通っているでしょう。

これが、法律通りに不正請求と言われればもはや業界が成り立ちません。

しかし、日本に7万件の需要があることは確かなのです。

いい治療をする先生もたくさん見えるのです。

いい手技や治療もあり、世の中に必要とされている(はず)なのです。

日本の接骨院業界が今後どの様な発展を遂げるかわかりませんが、おそらく腕の良い、素晴らしい診療を行う方たちが

薄利多売な保険診療でなく自費診療で質を追求しながら進むのでは無いでしょうか?

という事で長い話のまとめはアメリカにもニューヨークにも

『接骨院、整骨院』はありませんし(合法的には)、柔道整復師もいません(日本から旅行中とか永住して違う仕事をする人は別ですが)。

しかし、落ち込むことはありませんよ。

お世話になった接骨院が無いからといって、必要な医療が受けられない訳ではありませんので。

日本の接骨院は一般的に私たちと同じ、腰痛、肩こり、膝痛、背中の痛み、首の痛み、股関節の痛みなどの『整形外科的疾患』を治療しています。

手を使って薬、注射などではない診療をするところも似ています。

カイロプラクティックの大きな違いは、ドクターとして認知され、必要に応じてレントゲン、MRIなどの検査から医学的に診断を行なった上で診療を行うことです。

整形外科疾患の多くはカラダの機能運動障害です。

なので、この機能運動性を改善しなければ長期的な痛みの軽減はもちろん、健康も手に入りません。

当院は接骨院ではありませんが、手を使った治療、診療から生活習慣の改善、機能運動医学のトレーニングを通して、長期的に復活したい方はお気軽にご連絡ください。

アメリカの最新医療と日本の経験的医療を組み合わせて診療しています。

これが噂の機能運動医学です。